XILINX と ALTERA のユニバーシティプログラム


FPGAの開発には、論理合成ツールを含むいくつかのソフトウェアが必要となります。
これらのソフトウェアには数千ドルの価格のものも存在し、ハードウェア開発の敷居を
高くしている原因の一つとなっています。

主に大学において、ハードウェア開発を低予算で始めたい場合には、 ユニバーシティ
プログラムの利用がお勧めです。以下は、筆者の経験によるユニバーシティ プログラム
の情報です。
2001年5月16日時点の情報という点と、筆者の思い込みによる間違いが多い点を
考慮して参考程度にしてください。
詳細は XILINX と ALTERA のホームページを参照してください。

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ザイリンクス ユニバーシティプログラム

http://www.xilinx.co.jp/univ/
ザイリンクスに関しては上のURLから、ユニバーシティプログラム の詳細を知る
ことができます。 ここから、米国のサイトに飛ばされて、オンラインで登録をします。
数週間後に、ボードとソフトウェアが届きます。

登録の際に、アカデミックで購入、あるいは donation により無料で もらうという2つの
選択があります。
PCの上で開発できる Foundation ISE-ELI の価格は約3000ドルですが、
アカデミックプライスは500ドル程度だったと思います。
(donation は無料。私は、無料で頂きました。)

同時に DIGILAB-XL-A5 が欲しいといえば、評価ボードを一枚もらえます。
こちらの詳細は下から取得できますが、SPARTAN を搭載した評価ボードで、
VGA、シリアルポート、PS/2等のコネクタが実装されています。
http://www.digilent.cc/

Foundation には設計できる回路規模に応じて3種類が用意されています。
ターゲットとしているデバイスにより、必要となる製品を選択すればよいのですが、
donation を利用する場合には(すばらしいことに無料でソフトウェアを利用できますので)
もっとも大きい規模に対応する Elite(ELI) を選択するという手もあります。

Foundation シリーズは、日本語Windows98, Windows2000, WindowsNT
で動作します。
日本語Windows2000での動作は保証されていませんが、問題なく動作し
ています。

例えば、デバイス XCV2000E を開発する場合に は 約1GB のメモリを推奨とマニュアル
には記述されています。PCの選択には メモリ量を考慮した方がよいかもしれません。
本格的に XCV2000E を利用している方に尋ねたところ、1GBのメモリを
積んでも、複雑な回路の論理合成に2日程度必要になる可能性があるということでした。

Foundationシリーズを用いることで、Verilog-HDL, VHDL等を用いた開発が可能です。

これは、筆者が経験したトラブルですが、
Foundation のインストールの際にPentium4のマシンではうまくいきません。
インストール時にJava のランタイムルーチンを呼び出すらしいのですが、
これが Pentium4 では動かないということです。
「一度、他のマシンにインストールして、それをコピーして、Javaの最新の
ランタイムルーチンをコピーして、再度、インストール」
といった手間を省きたい場合には、 PentiumIII のマシンがいいかもしれません。


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アルテラ ユニバーシティプログラム


Altera のユニバーシティプログラムもあります。
こちらも無料で Quartus, MAX+PLUS II, テストボードが利用できるように
なります。
http://www.altera.com/education/univ/unv-index.html
上のURLから情報を入手できます。

MAX+PLUS II を試してみたところ、最新の Version 10.0 は 日本語版Windows2000
で動作しませんでした。(サポートされていないので、動かなくて当然ですが。)
Windows98 では問題なく動作しています。

独断ですが、XILINX Foundation と比較して、Altera MAX+PLUS II の方が慣れ
やすい部分があります。最初はマニュアルを見ながらサンプルを記述することに
なりますが、Alteraのマニュアルは親切です。 また、MAX+PLUS II には機能制限の
付いた student edition がありますが、使い方が同じなので、学生は自分のPC等
を用いて student edition を利用し、 慣れてから本格的な実装に進むといった使い方
が可能です。
ただし、慣れてしまえば、Altera, Xilinx ともに優れた開発環境を提供してくれることに
変わりはありません。

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その他、大学関係者であれば VDEC を利用するという手があります。
また、最近は GNU によるハードウェア開発環境の整備プロジェクトに代表される
Linux 上で利用できる無料のハードウェア開発環境が揃いつつあるようです。


ソフトウェア開発と同様、ハードウェア開発に関してもお手軽に開発を始められる
環境を早く整備したいものです。


Kenji KISE
kis@yuba.is.uec.ac.jp www.yuba.is.uec.ac.jp/~kis
Graduate School of Information Systems,
The University of Electro-Communications